matsuo.

ツイッターより長い事を書きたい時に使ってます

君の胸で泣かない 君に胸焦がさない

 

𝑰'𝒎 𝒍𝒐𝒐𝒌𝒊𝒏𝒈 𝒇𝒐𝒓 𝒂 𝒑𝒆𝒓𝒇𝒆𝒄𝒕 𝒔𝒌𝒚 ...

A Perfect Sky

A Perfect Sky

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記事、もっともっと書いていたんだけどいつかの私がもういっか〜って沢山非公開にしたっぽい。細々したライブの話ばっかりだったと思います。

 

パーソナルジムに通いはじめる。

3ヶ月。昨日は4回目だった。食事はたんぱく質を摂る事を必須に調節しなくちゃいけないんだけど初週の次の週早速暴食して、即バレる。ジムをはじめる前に夏だからと買ったアイスとか全部空に出来たら良かったのに、結局持ち越したからそういうのは嘘つかずに食事管理アプリに記載してたけど(毎回食事の内容をチェックされるので)暴食の週はマクドナルドの月見パイが出た事を言い訳にしてしまった。誤魔化しメニューを打ったけど、トレーナーさんは(…怪しいな〜ってか普通に嘘だな〜)っていう反応と目をしていて、それは勿論行くたびに性能なマシンで今の体重やら体脂肪やら筋肉やらスパンッとチェックされるので、昨日の夜遅かったので…なんてバレバレの嘘は通用せんのだ。帰ってから勿論落ち込んだ。PMSも被って暴食してしまい、結果トレーナーさんを悲しませる事になり、自己肯定感も爆下がりした。本当に思考停止する。

 

トレーナーさんはめちゃくちゃ優しい。本当に優しい。ちょっとした事でもめちゃくちゃ褒めてくれる。でも私はめちゃくちゃ怯えている。スポーツのマンツーマンまじ向いてないって思考停止しながら、褒めないで欲しい!そっとしておいて欲しい!淡々とそっけなくして寂しくしておいて欲しい!と思いながらベンチプレスとかやる。

そんなトレーナーさんを裏切る一番の行為は欠席よりも食事管理の甘さだ。実際4回目の昨日、行くのが本当に辛かった。でももうずる休みとかしたくない。

朝ごはんを食べて欲しいと言われ続ける。たんぱく質の摂取量は分散した方がいいので、プロテインとおにぎり1個でいいからと言われる。今日は出来た。たんぱく質は十分とれたが、同時に摂取カロリーもオーバーしてしまって、なかなか難しいなと思うけど、別にこのメニューを一生やれと言われているわけではないからと思うと、向き合えるのは。書いてて泣けてくる。だってもう4回目なんだもん。ヤルシカ。

 

絵文字、見れる?

🌖

2019 行ったライブ

 

2019 行ったライブ一覧

 

1月

1/2 コマンダンテno寄席

1/5 浅野いにおトークショー・原画展

1/11 芸人人狼(ゲスト:ダイタク)

1/16 コマンダンテ石井トークライブ 「話す・大阪芸人と話す・東京芸人と話す」

1/17 明るさとチャラさと心強さと。〜Achaco!!〜

1/18 ファースト∞ネタライブ

1/19 トークダンテ+

1/29 ALL-STAR-T

 

2月

2/4 コマンダンテ石井トークライブ「話す・大阪芸人と話す・東京芸人と話す」

2/7 オレたちの好きな漫才2本〜企画コーナーもやります〜

2/18 バトル・オブ・ザステージ

2/27 ダイタク1日イベント「大レクト拓ティカル」

 

3月

3/2 コマンダンテ×囲碁将棋〜漫才で語り合う120分〜

3/17 爆裂キワメキlive

3/24 コマンダンテのスーパーベストネタダンテ

3/30 第5回 よしもと×K-PROプロデュース 一夜限りの即興コンビによる即興漫才バトル

 

4月

4/16 ウエストランドのクイズミュニケーションセミナー

4/18 Do you know "MANZAI"?

  

5月

5/6 GW特訓〜漫才もコントもゲストトークも〜

5/10 ヤーレンズトークライブ

5/14 難題ライブ2

5/26 K-PRO一週間ぶっ通し興行2019 マジマゼドリームマッチ

 

7月

7/23 QuizKnock Lab 刊行記念イベント

7/26  コマンダンテ石井トークライブ「話す・東京芸人と話す」

7/28 コマンダンテ×囲碁将棋〜漫才で語り合う90分〜

 

8月

8/3 トークダンテ コマンダンテ結成11執念11都市漫才ツアーin大阪

8/4 井下好井×ヤーレンズ 大宮漫才オーシャン

 

10月

10/1 コマンダンテ石井トークライブ「話す」

10/4 新道さんと(ゲスト:ウエストランド井口)

10/20 QuizKnockファンブック 刊行イベント

 

11月 

11/29 オジンオズボーンのちょっと入れさせて

 

12月

12/4 M-1グランプリ2019 準決勝

12/14 文藝別冊 川上未映子 刊行記念 川上未映子 トークイベント Keep you burning~駆け抜けて12年

12/28 QuizKnock感謝祭2019

 

 

計、40本。

2016は103本。2017は90本。2018は70本。

ででん!半券整理を年内にしてしまっている時点でなんとなくお察し頂けるかとは思いますが(まだ1本これからのイベントがありますがそれ以降は増えない予定なのでもうカウントしてしまいます)

1月は例年通りくらいの数だけどだんだんですね。今年はお笑いライブは本当に離れてしまいました。すっかり在宅といいますかyoutubeとかテレビでチェックする方が多くなってしまった。というのも芸人さん達がめちゃくちゃ自分達のyoutubeチャンネルを持つようになった。勿論ライブの生には叶わない所が沢山あるけれど、youtubeでも凄く素敵な動画を見られるようになった。

そしてユーチューバーのイベントもここの記録に食い込むようになってきた…。クイズノックはお笑い好きの間にもウケがいいのでしょうか(いいね)レポとかツイート検索するとクイズノックの感想も一緒に呟いている方を結構見かけます。

見返すと合計本数は減ってるものの当てるのが大変なライブも結構行ってますね(石井さんのトークライブとかM-1の準決勝とか) 

 

2018まとめは金属バットのネタを見ながら書いていたようですが、2019まとめは霜降り明星youtubeチャンネルを見ながら書いています。

 

2018 行ったライブ

 

2018 行ったライブ一覧

 

1月

1/3 ラフレクランno寄席

1/14 ゲームダンテ

1/19 ネタをつくるライブ

   根暗なゲームライブ

1/25 わいわいわい2

 

2月

2/4 バティオスネタ祭り

2/6 ヤーレンズトークライブ

2/13 ルミネtheよしもと 平日14時の部

  みつあみinルミネ

2/27 行列の先頭34

 

3月

3/5 トークダンテ

3/18 よしもと×K-PRO合同 M計画

3/21 大宮大阪よしもと小博覧会2018春

3/24 ルミネ初単独ライブ ルミネtheよしだたち

3/25 原宿K-PROライブ

 

4月

4/3 漫才ファイトクラブ5期生

4/8 コマンダンテ×囲碁将棋〜漫才で語り合う120分〜

4/9 それぞれの浅草キッド

4/10 ヤーレンズトーク

4/18 わいわいわい3

4/26 トッパレA

  

5月

5/18 みつあみinNGK〜ファイナル〜

5/25 みんなの弟

5/26 コマンダンテ結成10周年10都市漫才ツアーin東京

5/27 〜本ネタ・カバーネタ祭り!〜

5/29 裏漫才5・コント5〜漫才師のコント、コント師の漫才〜

 

6月

6/16 うしろシティ第9回単独ライブ「どこが海の見えるまち」

6/22 トークダンテ

6/27 行列の先頭35

 

7月

7/6 おいでやす小田で遊ぼう

7/9 コマンダンテ×囲碁将棋〜漫才で語り合う120分〜

7/14 トータルテンボスの「大貧民

7/21 ウエストランド単独ライブ「FINE」

7/24 ダイタク10周年ライブ「漫才ルーレット」

7/25 みつあみ〜season2〜inルミネ

7/30 渋谷漫才大学〜教授・笑い飯哲夫編〜

 

8月

8/3 漫才ヒーローズ

8/5 マルセイユ単独ライブ「CONNECT」

8/12 コマンダンテ結成10周年10都市漫才ツアーin湘南

8/18 見取り図の大宮一日店長ライブ

8/22 デニスのちょっとツラ貸せや

8/24 吉田たちの優勝するための大大大爆笑漫才ツアーin東京

8/29 ネタをつくるライブ1

        ネタをつくるライブ2

 

9月

9/1 K-PROカーニバルin東京〜夏の最後の特大ネタ祭り〜

9/3 わいわいわい4

9/9 第4回 よしもと×K-PRO合同プロデュース 一夜限りの即興コンビによる即興漫才バトル

9/18 ヤーレンズトークライブ(7周年)

9/23 井口カーニバル

9/25 ヤーレンズトークライブ(7周年)

9/28 ヤーレンズ DE オールナイト

 

10月

10/1 TAITAN LIVE U40

10/5 行列の先頭グランドカーニバル2018

10/12 ダイタク 新宿バッシュ3公演

10/20 ファーストライブ

10/31 大宮ハロウィンライブ

 

11月 

11/12 ALL-STAR-T

11/13 M-1グランプリ決勝体験ライブ

11/18 芸人人狼(ゲスト:ダイタク)

11/20 実は同期です。〜新宿に集まってしゃべろうよ!〜

11/23 K-PROカーニバルin北沢タウンホール

 

12月

12/5 ヤーレンズトークライブ

12/7 げんしじんトークライブ

12/10 Achaco

12/15 僕らの生誕祭〜12月生まれ大集合!〜

12/16 漫才ライブ 余韻

12/29 ファーストライブSP

12/30 芸人人狼(ゲスト:ダイタク)

 

計、70本。

2017は90本。2016は103本。

か、確実に減ってる〜〜〜〜〜〜〜!!!じわじわ減ってる〜〜〜!

これを書いているのは2019年の3月です。いや〜減ってんな〜…こんなに減るか。なるほど…。太字にしてるところは印象に残ってたり特に楽しかったやつです。2018は夏頃にウエストランドを好きになったのが大きかったな。

 

減ってるというより厳選してるって思いたい。ライブは楽しいです。

 

この半券清算をしないと私の年は明けません。あけましておめでとうございます。金属バットのネタを流しながら書いています。

ルミネtheよしだたちが素晴らしい単独ライブだった事

 

3/24 ルミネtheよしだたち  

 

この日は吉田たちの単独ライブを見た。

NGKとかパンパンになるのにルミネでの単独は今回が初。そんな感じが全然しない。

 

吉田たちはめちゃくちゃ頻繁に単独をやるのでここ数年は大阪東京含めてほぼ全部見に行ってたけど、今回の単独が今まででいっちばん良かった。初めて吉田たち単独を見た時の新鮮さや高揚感をぶち抜いて、今回のルミネtheよしだたちが過去最高。特別な事はやっておらず、漫才と暗転中のロケ映像とトーク、と普段の単独の形だったんだけど、ただただ良かったんです本当に。

 

ネタは意欲、工夫、技術があって、べしゃり的な部分やまとまりはもうこれ以上ないのではってくらいいつもバランスが良い。それと細かな部分のブラッシュアップに感動する。

あの時間、あの瞬間、3月24日のあの舞台での2人の空気がただただ良かった。気合い入ってます!賞レースに向けてネタかけてます!とか、ネタがめちゃくちゃウケていて、会場の空気があたたまっているから心地が良い事とはまた別の心地よさがあった。

お客さんと演者を包む膜みたいな、あの時間、あの空間を創り上げるには必要不可欠だった目には見えないけどそこにあるものに、私はめちゃくちゃ元気と感度を貰いました。

見終わった後、幸福感に足元ふらふらしたくらい。土曜の夜の新宿の街のぐっちゃぐちゃなあれやこれやを全身に浴びても、それを全て愛してしまうほど。なんでも見える、なんでも許せる。あの夜、目に見えるもの、耳で聞こえるもの、肌で感じる風や気配、足の裏から伝わる街の事とか、全てを本当に心の底から愛してしまった。超無敵状態。2時間お笑いライブを見ただけで。

 

 

決め手がふんわり感覚的であるのは私の気分や体調にとても左右されているからで、専門的な(?)的確なレポはできない(今までもしてこなかったけど……ネタのタイトルメモくらいで)

私はライブを見るのは大好きだけど、ネタの構造とか専門的な事は本人達から発信されたもの以上の部分は触れないようにしていて(評論するような目線を持つと自分がライブを楽しむ目的と違ってきてしまうので)私はただ、ライブを見ている間くらいは自分の感度を丸裸にしていたくて。だから、面白いネタを見て泣きそうになるし、満席立ち見完売御礼という事にも泣きそうになって。ネタでもトークでもない繋ぎの部分のちょっとした会話とかにもくらくら揺れてしまって。邪念、雑音、不安、戸惑いを吹き飛ばして全部私のプラスになるようにあの日の心は動いていた。

 

ライブの後に一緒に見に行った友達にも「今日のライブ、いつもより見やすくなかった?」と聞いたら、凄く良かった!なんだろう……雰囲気?と言っていたので、私と似たような事を思った人は他にも沢山いるかもしれない。だとしたらとても幸せだ。自分の気持ちを確かめたいわけでもなく、偉そうな仲間意識でもなく。でも、幸せだ。

 

別のライブで某芸人さんが「やっぱりお客さん沢山入ってくれると嬉しい〜!ってなっちゃって、それだけで俺売れたー!ってすぐ勘違いしちゃう」言ってて、最近の私はこういうなんでもない部分にキて、ぎゃんぎゃん刺激されてしまう。こういう風に感じる心を本当に本当に羨ましく思ってしまう。人間性がぽろっとこぼれる瞬間に出くわすたび、日々の生活の中でボロッボロに擦り切れた自分の心があらわになって痛いーーーー!!!ってなってるんですよ。

この間も1日の用事を済ませて休憩がてら入ったミニストップで、小さなパフェを頼んでイートインスペースで待ってたら、持ってきてくれた店員さんがスプーンの封を取り出しやすいように切ってくれて、紙ナプキンをさっと机に敷いてごゆっくりどうぞって言ってくれた時も泣きそうになってしまった。これ以上何処を擦り切ったらいいのかって思う心に、冷たくて柔らかいアイスクリームがこっくり溶けた。

 

去年の秋頃からこういった感度のネジが馬鹿になってしまっていて、何もかも丸裸で浴びているので凄く疲れるし歯止めが効かなくて困る事も多いのだけど、それでも今までの人生でこんなにも惜しみなく日々の生活の中でアンテナはるってまあなかったなと思う。暫くこのままだと思う。

 

 

最果タヒさんが、

「私の詩を少しでも好きだと思ってもらえたなら、それは決して私の言葉の力ではなくて、最初からあなたの中にあった何かの力。私の作品じゃなくても、ふと見た景色や鳥のさえずりや、好きな歌、それらにふっと顔がほころぶ日があったなら、それはきっとあなたの中の何かが響いて、すべてを眩しく見せているんだろう」

 

と、言っていた。

 

「世界が美しく見えるのは、あなたが美しいからだ」

 

あの夜はまさにこれだった。

私の中の何かが響いて、すべてを眩しく見つめていた。タヒさんのこの言葉に出会った時、ああ、言っている事は凄くイメージ出来る、でもそれ止まりで精々頭の中でそれっぽく世界が輝くだけで、身体で眩しいと感じる事はきっと遠い先の事なんだろうと思っていた。

感じたいんだけど!どうにかなりたい!どうにかして欲しいんだけど!って一人無口に喚いていたら、あっさり出来てしまった。私が私の心に向き合ったら、何もかも眩しく見えてしまった。これ以上ない最高密度な瞬間を、私の心が感じてそれを今の私が肯定している事だけでも少し前の私からすれば奇跡みたいな話だ(ズタボロの引きこもり状態だった)

あの瞬間の、あそこやここのあれはどんな言葉がフィットするだろうと選別していくうちに鮮度はどんどん落ちて、別のものとして再構築されていく。私はあの夜、あの2時間で感じた事全てを肯定出来た自分のために書く。

 

心と身体と内と外と全てリンクして、フィットする瞬間、私は私のために震えた。

 

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ええやんけ

 

 「形、狂ってるよ」

 

美術大学へ行くために、実技の予備校に通っていた。この言葉は予備校を卒業する日まで先生から言われていた言葉だ。

 

かたち、と聞くと、結局ここに辿り着いてしまう。

大学受験も予備校時代もずっと昔。それなのに結局ここに引き戻されてしまうのは、今までの人生の中でなんとか頑張ったと言える経験がここにしかないからだ。前を向いているつもりで振り返ってしまう。情けない。せめて今がもっと楽しくなるように向き合いたい。

 

 

高校受験に失敗し、入学して半年でこのままでは卒業まで持たない、絶対リアイヤしてしまうと焦った私は学校以外の居場所を探した。絵を描く事が好きだったので、美術科の先生に美大受験用の予備校を教えて貰い、学校帰りは毎日そこへ通った。

 

一番最初に描いたのは、薪……だったような気がする。

台の上に一本の薪が置かれていて、それをただ鉛筆で描く。デッサンというものだ。出来栄えは散々で「なーんか不器用だなあ、自信なさそうな感じ(笑)」と先生に言われた気がする。私を受け持ってくれた先生は若い先生で、東京藝術大学を首席で卒業した仙人みたいな人だった。

 

それから色々なものを描くようになって、講評も大人数でするようになった。棚にずらっと並んだデッサンを見て私は震えた。まず、鉛筆の色の豊かさに驚いた。同じ鉛筆で描いているのになんて様々な黒があるんだろう。一色の中にこんなに幅があるなんて。上手、下手、そんな事よりとにかく自由だと思った。先輩達のデッサンは迫力があって堂々としている。絵を描く事にこんなに自信があって、生命力に満ちていて、なんてかっこいいのだろうと思った。

着彩(絵の具を使った課題)の時に茶色の椅子を指差して「これは俺に言わせて見れば黄色と紫のハーモニーなわけ」と先生は言う。信じられなかった。大きな大人が、真っ直ぐな瞳でそんな事を言う。確かに黄色と紫を混ぜれば茶色になるけど……そんな事わざわざ言うなんて恥ずかしいや……と思っていた(今思うと本当にすかしてて捻くれていて恥ずかしい)赤いリンゴを描く時、赤い絵の具を使う人はいなかった。みんなそれぞれに赤の感じ方があって、何処までも複雑に入り組んだ物の見方に出会い、果てのない宇宙みたいだと思った。途方もない事のように思えて絶望感もあった。世の中には絵を描く事に対してこんなに無邪気で堂々としていて、それでいてかっこいい人が沢山いる事を知った。

 

 

年に数回、東京の大学から先生がきて、講評をしてくれたり大学のお話を聞けたりする講習会があった。

高校3年の秋に受けた講習会で、私のデッサンを見て大学の先生は「うんうん、分かりますよ、そうですよね」と言いながら笑っていた。「よくモチーフ見て描かなきゃ、形に気をつけなきゃ、先生に言われた所見直さなきゃ、でも現役で受からなきゃ……とか、あなたの色んな声が聞こえてきていいですよとっても」みたいな事を言われた。身体がカーーーッと熱くなった。他の子はもっと褒められたり、希望の大学名を聞かれたり、技術的なアドバイスを貰ったりしているのに。でも全部図星だった。恥ずかしくて消えてしまいたかった。塾長と私を受け持ってくれていた先生は笑いながら頷いていた。

枚数と時間を重ね、細かな技術を覚えていくうちに、私は縮こまっていった。あれもこれも、あんな事まで教えて貰って、なのに手が追いつかない。今思えばがむしゃらに描いて描いて描きまくればどうにでもなったものを、悩んでいるフリとか、病んでいるフリをして目を背けた。やってもダメだったらどうしよう……ととにかく逃げ腰で、努力する事に怯えていた。でも傷ついた事だけは沢山アピールして、最悪だ。上手な人達に囲まれてやる気が削がれ、どんどん拗ねて、判断基準が上手いか下手かの二つしかなくなって心が擦り切れていく。自分の殻に閉じこもる。

絵が好きという事も描く事が楽しいという事も忘れて、ちゃっちゃと大学に入りたかった。いや、入れるようになんとかして貰いたかった。先生にどうにかして貰いたかった。

受験直前になってくると、鉛筆を削るだけで泣き出す人、デッサン中に暴れる人、抑えきれない感情が変な方向を向き出して、その空気に飲み込まれそうになる。先生達もピリピリしてる。ちょっとでも気の抜いた事をしようものなら雷が落ちる。何かにすがったり、向き合ったりしない私はそれすらも他人事のように感じていた。

毎日終電で帰って0時過ぎに夕飯を食べ、お風呂に入って気絶したように眠った。

 

 

『見る』『観察する』という事に対して私はとても鈍感で、考えようとも感じようともしなかった。デッサンは100見たら1描く、くらいのつもりでいいと言われたが、全然意味が分からなかった。分かっているけど、解っていない。

とにかく形を捉えるのが苦手で「形、狂ってるよ」「形、あってないよ」「だから形直せってば」と耳にタコが出来るくらい注意された。受験当日も「お前はとにかく形だけあわせてこい。描写出来なくても形があってれば後はなんとかなるだろうから」と言われたほどだった。

正確に形を捉えられるという事は、そのモチーフをきちんと観察できているという事だ。描く事は、見る見る見る、見る、見る見る見る、見る、描く、見る見る見る見る、見る、描く、見る、の繰り返しで、手を動かすよりも見る事の方が大切だ。

 

 

ふーふー言いながらも大学には合格した。

サークルでは文芸部に入った。筆記試験で小論文の課題があり、その対策を予備校でしていた時に何度か褒められた事を思い出し、何か作品をつくる時の幅が増えればと思い入部した。

(実際に予備校で小論文対策として添削して貰ったプリントが出てきた。何課題かやってはじめてまあまあいいじゃん的な事を言われてホッとした時のもの)

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(添削して貰った作文は沢山あるけれど、これが一番上になって保管してあったので、相当安心したというか自分の中で印象深かったんだと思う)

 

サークルには小説を書く人、文字を使ってインスタレーションをする人、コントの台本を書く人など様々だった。年に何回かアンソロジーのような本を発行し、そこには短い小説を何本か書いた。文字を紡いだり物語を書くのも楽しいと思った。それからは自分の学科の課題でも、文字や文章を使った作品をつくったりした。絵を描く事よりも文字を使って何かを表現したいという気持ちが強くなっていた。

 

 

それでもふとした時に、全力でやるべき時にやらなかったツケがまわってくる。バッターボックスに立たせて貰ったくせに、全力でバットを振らなかったツケがまわってくる。

心の底から楽しんだり、挑んだり、感動する感覚が分からないまま月日が流れ、大学卒業後、仕事をしていても、誰かと遊んでいる時も、心ここに在らずで目の前の事に集中出来なくなっていた。そのうちどんどん気力がなくなって、私は引きこもるようになってしまった。身体を頭でコントロールしようとして、いよいよ苦しくなってきた。仕事をやめて、何かに熱中する事が苦しくなって、趣味のお笑いライブに行く事も、読書や書く事からも遠ざかるようになった。どうやって楽しんだらいいか、好きになったらいいか、分からなくなってしまった。

時々友達と会っても、別れた後の疲労と虚無感の反動に耐えきれず、ほとんど家から出ない日が続いた。一日の半分以上を寝て過ごし、小さな鬱の中、このサロンの記事を見て堪らず飛び込んだ。自分とも向き合えない、人とも会えない、でもどうにかネットだけは見てる。絵を描く事が好きだったからもっと勉強したいと予備校に通い出した時と同じ気持ちでまた何かはじめてみたい。書く事を楽しみたい方歓迎しますの一言に勇気を貰って泣きべそかきながら飛び込んだ。

小野さんがアート・アンド・ブレインのワークショップの事を書かれていたが、似たような事を大学入学後一発目の課題で行った事を思い出した。見るという行為について自ら気がついた時、自分の存在にもっと近づいて、知ろう、愛そうという気持ちが芽生えた時の事を思い出し、胸がきゅうっと熱くなった。

手を動かそう。生活も仕事も趣味もちゃんとしたい。好きな事を好きなまま続けられるように向き合いたい。

 

 

 

この記事も、メモ帳におこした言葉から記憶を戻してつぎはぎして書いている。書くというかたちについて、もう一度見つめ直している。冷えて硬くなった頭をゆっくり動かしながら、気持ちと目線をほぐしている。見て、愛して、感動して、丁寧に生きたい。

 

 

 

 

 

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”書く私”を育てるクリエイティブ・ライティングスクール課題

お題「私のかたち」

 

■書いた感想

イメージを膨らませているうちに、受験時代の事を一度どこかで書いておかないと後々つっかえそうと思ったのでアクセルを踏むために書いた。今までこういう事は 「話した」ことはあったけど「書いた」ことはほぼなかった。記憶がボロボロな所もある。書きながらこの時期の事をきちんと「過去」にする事が出来た気がする。

普段パソコンでとるメモも今回は紙とペンを使って書いてみたりした。頭の中の整理整頓の仕方がパソコンの時と少し異なったので新鮮に感じられて良かった。

お題、期日があるとそれを守らなくちゃという気持ちが先走って、ペース配分が分からなくなってしまった。これからはデッサンをするその前段階のクロッキーを沢山積み重ねるような気持ちで書いていきたい。